こんにちは、オープンたかつきです。
オープンたかつきの散策プログラムでも大人気の原地区を、今回も巡ってきました。
秋のプログラムでは「原八景」を訪ねましたが、
今回はかつて原で多く営まれた「寒天づくり」についてのお話もお聞きします。
かつてこの原では寒天業がとてもさかんで、海外にも輸出していたほどですが、
昭和40年代ごろから衰退し、昭和63年を最後に残念ながら原での寒天づくりはなくなってしまったそうです。
オープンたかつきでは原に実際にお住まいになっている田中國雄さんと
矢ノ向正巳さんにご案内をしていただいています。
神峰山口のバス停で田中さん・矢ノ向さんと合流し、大森橋へ。
まずは「原八景」のひとつ【大森晴嵐(おおもりのせいらん)】についてお話をいただきました。
原八景とは、神峯山寺の僧が、原地区の美しい8つの景色を漢詩につづったもの。
その漢詩のひとつが【大森晴嵐】なのですが、
芥川にかかる大森橋の付近から見える夏の景色を詠ったのではないか、とされています。
口語訳にすると「林を夕日が照らし、菱(山崖)は良く晴れている」という始まりの漢詩。
大森橋から少し北東、ちょうど神峯山寺のほうに目を向けたところに
かつて「大森」と呼ばれたこんもりした林があったそうで、
その情景ではないか、と田中さんは分析をされています。
田中さんは、多くの文献からの研究を重ねて、
このように「原八景」をより深く読み込んでいらっしゃるのです。
大森橋を過ぎて、原公民館前で「寒天作り」について教わったあと、八阪神社へ。
ここでも八阪神社の境内に流れる川の、秋の情景を詠った漢詩
【雲谷川 宮下落雁(みやしたのらくがん)】についてお話をうかがいました。
5月半ばの原は、田植えを行う前の耕しの季節。たまに農家の方のトラクターとすれ違います。
「明日雨の予報が出てるからなあ」と矢ノ向さん。
「今日中に畑の作業しようとする方が多いんでしょうなあ」
矢ノ向さんも「ほんとはせなあかんねんけどなあ。」と笑っておっしゃいました。
今日の日を畑作業じゃなしに、オープンたかつきに使っていただいてすみません・・・。
さて、そんな作業に大忙しの方のある作業場にうかがいました。
ここは、原で最後まで寒天作りを行っておられた元寒天小屋。
かつてお父様が寒天業を営んでおられたという方にもお会いすることができ、
少し寒天作りをされてたころの思い出話などもお聞きすることができました。
さらにのんびりとした原の村中を歩き、原を一望することができる浄圓寺へ。
ここも原八景のひとつ【浄圓暮鐘(じょうえんのぼしょう)】の舞台です。
春の夕暮れに響く鐘の音を詠った漢詩ですが、
浄圓寺の鐘は第2次世界大戦のときから長い間失われたままでした。
平成20年に檀家の方々が寄贈されたおかげで、今では朝昼夕に原一帯に鐘の音が響くそうです。
この日はまだでしたが、原の田に水が張られたらさぞかし美しいだろうなあ!
という広々とした景色を見ることができました。
最後に【河原夕照(かわらのせきしょう)】と題された漢詩の場所「下条橋」から芥川の景色。
カラスがずっと水浴びを楽しんでいるのを眺めながら、
「原ってほんと、のどかだなあ」と思いました。
時間の流れだけでなく、もう原そのものがのどかです。
のんびりしています。
さらに今日ご紹介いただいた「原八景」や「寒天づくり」についてを紹介する、
田中さんがご自分で作られた展示室を見学させていただき、今回の散策は終了。
今回もなんとも癒された1日となりました。
田中國雄さん・矢ノ向正巳さん、ご参加くださいました皆様、ありがとうございました。